第63章 あなたの親権は私が自ら放棄したものだ

中尾美希の瞳に、得意げな光がちらりと走る。外でひそひそ噂している同僚たちには気づかないふりをして、さっと扉を閉めた。

「美希おばさん……ママ、パパと離婚するんだって……」

振り向いた瞬間、そんな“朗報”が耳に飛び込んでくる。

中野蓮は縋るような目で彼女を見上げ、今にも泣き出しそうだった。

「えっ……どうして?」

中尾美希は胸の内で歓喜しながら、表情だけは困惑を作る。

「栞さん、何も問題なさそうだったのに。蓮、まだ6歳でしょう? そんな……簡単に離婚なんて、できるわけ……」

言いかけて、はっとしたように口をつぐむ。自分の言葉が蓮を傷つけるとでも言いたげに。

「蓮……栞さん、本当...

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